「考えて野球せい!」 (野村克也メモリアル~その5~シンキングベースボール)  ~名言地産地消(34)~

「考えて野球せい!」
(野村克也メモリアル~その5~シンキングベースボール) 
~名言地産地消(34)~

丹後は多くの名士を輩出した。その名言を今丹後に暮らす我々が地産地消していこう。

野村克也ベースボールギャラリー 特別展 ~開催中~

期間:2021年3月27日(土)~5月9日(日)

場所:アミティ丹後  (京都府京丹後市網野町)

野村克也ベースボールギャラリー

南海魂/あゝ栄光の南海ホークス(ロックver.)
※南海魂の歌手は、京丹後出身の東 蓮(azuma ren)さんです。

野村克也氏は語る、

「野球はなぜあんなに休憩の多いスポーツなのか。もう一度、よく考えてみようではないか。野球はプレーとプレーのあいだの”間”が、次の作戦を考え、次のプレーに備える時間となる。かように野球は”頭のスポーツ”なのだ。」

「野村克也からの手紙」 野村克也著/ベースボールマガジン社より引用。 ※実際の手紙でなく、手紙形式の随想録です。

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選手兼監督に就任  ※ 野村克也ベースボールギャラリー 特別展にて展示

南海ホークスの選手兼監督に就任した野村克也氏は一緒プレーした元大リーグの ドン・ブレイザー選手をヘッドコーチに招聘した。ブレーザー氏は24時間野球に浸かっていたい野村克也氏にとっては最高の相手であった。暇さえあれば飯に誘い出し野球の話、大リーグの話に熱中していたという。大リーグでレギュラーの2塁手であったブレーザー氏は、ピッチャーの投球、打者のクセや傾向などの状況を”考えて”守備シフトやチームプレーについて多くを語った。鶴岡監督の精神野球で育った野村克也氏は「これだ!」と思われたのであろう。

選手兼監督を引き受けた野村克也氏は、「投げて打つ」という単純な力勝負の野球から、考えたチームプレーをする”シンキングベースボール”をスローガンにしてチームの再建を図っていた。特長のある選手を再生していったことと相乗効果もあって、南海ホークスは勝てるチームと変わっていった。後に、シンキングベースは野村克也氏、ドン・ブレーザー氏の代名詞となり、その手法は他球団やアマチュア野球界に広まっていったのである。

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優勝 胴上げ  ※ 野村克也ベースボールギャラリー 特別展にて展示

野村克也氏は、その後ヤクルト、阪神、楽天の監督となる。考える野球はチームプレーだけでなく、さらにプロ野球選手の基本動作として考えてプレーすることを求めっていった。楽天でのスローガンは選手を叱りつけるように「考えて野球せい!」であった。

楽天に移籍してきた山崎武司選手は天性だけで野球をやっている選手の典型であった。ホームランバッターだったので「頭を使って準備しろ!」「勝負心を持って振ってくれば結果は問わない」と言った。山崎武司選手は楽天でホームラン王、打点王となり、「野球を再度面白いものだと思わせてくれた恩人」と野村克也氏に感謝の言葉を述べるのである。

野村克也氏は、「野球は一球一球間がある」、その間は準備する時間、考える時間であると説く。そして、考えるにあたったは「本質」を考えることが重要だと語る。

「ピッチャーはなぜ変化球を投げるのだろうか。それは単純明快で、真っ直ぐを生かすために変化球を投げる。このようにシンプルなことでも、分かっているようでわかっていない。「真っ直ぐを生かすための変化球」。その原則があるから、ボールの遅いピッチャーだったら変化球をマークしてストレートに対応する。逆にボールが速いピッチャーならストレートをマークして変化球。それを踏まえて、どうやって打つか、どうやって討ち取るかを考えていく。それが野球なのだ。

だから、まずは本質、理屈を考えることが必要になる。バッターに共通したテーマは変化球への対応だから、そこに視点を置いて相手を分析すればおのずと解は見つかるはずだ。」

「弱者の流儀」 野村克也著/ポプラ社 より抜粋

また、バッターがここまで考えるのであれば、キャッチャーはもっと考えないといけません。野村克也氏はキャッチャーは「1日3試合、準備野球、実践野球、反省野球」だと説く。1球1球だけでなく、1試合1試合考えないといけないである。しかし、野村克也氏はこれを実践してきたのである。

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執筆著書  ※ 野村克也ベースボールギャラリー 特別展にて展示  

本質を考えることについて、「野球とはどういった本質なのか」を野村克也氏が考えたメモが残っています。

1.団体競技であるという本質 (主体性と強調性のバランス、チ―ムの目標と個人の欲求の一本化、さらに一丸となった結束力と闘志が求められる。)

2.頭のスポーツ (一球一球の間合い、技術だけでは勝てない、力以外の何かが必要。)

3.意外性のスポーツ (不確実性の人間のやること、強いものが必ず勝つとは限らない。)

4.失敗のスポーツ (コントロールミス、打ち損じ、失策、判断ミス、サインの見落とし、ワイルドピッチ)

5.人間性が反映されるスポーツ (人格、基本教育、指導、性格、知識、感覚、感性、思考など)

「追悼 野村克也」 サンケイスポーツ特別版 野村ノートのメモより抜粋

さすが、野球の本質をズバリついていると思えるのですが、これって”野球”を”仕事”や”人生”に置き換えても、その本質を十分語っているんです。

野村克也氏は多くの著書を残されました。そのほとんどは野球の話を書いているのですが、ビジネス書、人生指南書として人気があります。それは、一試合一試合必死で考え準備し、うまくいったことダメだったところを反省し、その本質を追求し今後も考えた工夫が使えるように、知見を積み重ねていったからだと思えるのです。

アメリカの実業界にも「考えよ!」を社員に徹底させた人がいました。コンピュータ事業を創業したIBMのトーマス・J・ワトソン氏です。ワトソン氏は、

「われわれ全員が抱えている問題は、十分に考えようとしないことだ!! 知識は思考の結果であり、思考はビジネスの分野を問わず成功の基礎を成すものだ!」

と、皆の前で大声で叱咤をしました。そして、「THINK(考えよ)」という文字を、壁にも机にも、さらにはメモに記して徹底させました。一見不可能に思える顧客の要望でも、とにかく考えることを社員に徹底させた。各社員の思考の蓄積は経営システムとなっていき、特に多国籍企業にとっては標準の経営システムになっていったのです。

野村克也氏もワトソン氏も、組織が他に抜きん出て勝ち続けるには、皆が常に考え続けるしかないと考えたに違いありません。

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京丹後名誉市民となる  ※ 野村克也ベースボールギャラリー 特別展にて展示

 

最初の「野球は休憩が多いスポーツで、休憩の時考えよ」という名言。都会で神経をすり減らして働いている人には解りにくいかもしれません。休憩は神経を休める場であって、なにも考えずにボーとする必要があります。でも田舎暮らしの人だと解る気がます。 

田舎暮らしで、地域あげてとか家族あげての野良仕事はよくあります。そして、皆が作業出来るようによく休憩をはさみます。いまでも「タバコしよう」といいます。この休憩中に作業の工夫や次の作業のだんどりをします。休憩は頭を使う場なんです。野村克也氏そんな感覚で言われたのかもしれません。野村克也の話には、なにか”田舎暮らし”や”丹後”の匂いがしてきます。

野村克也ベースボールギャラリーは田園風景を通って、浅茂川海岸の近くにあります。すり減らした神経をリラックスしてからギャラリー

を見ていただければ、新たに気づくこともあるかもしれません。(友木)

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